どうなる?どうする?住宅ローン
2024年10月、銀行の多くで、
住宅ローン「変動型」金利が引き上げられ、
基準金利が0.15%の上昇となるケースが相次ぎました。
この先、住宅ローンはどう組めばよいのか、
ポイントを解説していきます。
住宅ローンには、ご存知の通り、
金利を見直していく「変動型」と、
一定期間金利が変わらない「固定型」があります。
そのうちの「変動型」金利は、日銀の金融政策の影響を強く受けるため、
日銀が7月に追加利上げを決めたのを受け、
基準金利を0.15%引き上げる動きが広がりました。
基準金利と適用金利
もっとも新規で借り入れる場合、
基準金利が引き上げられても、
そのまま利用者が払う金利が上がるわけではありません。
もとになる「基準金利」から、
契約者の支払い能力などに応じて、各金融機関との
それぞれの契約で決まる「優遇幅」が差し引かれて、
実際の「適用金利」となります。
つまり、「基準金利」ー「優遇幅」=「適用金利」となり、
例えば、基準金利が2.00%で優遇幅が1.50%ということになれば、
契約者の適用金利は0.50%ということになります。
具体的に3500万円を35年ローンで借りるケースでみると、
「適用金利」が0.5%から0.15%上がると、
毎月の返済額は2300円ほど増える計算になります。
「5年ルール」と「125%ルール」
すでに住宅ローンを借りている人の場合、
借り入れ時の優遇幅は完済まで一定のため、
借り入れ後に基準金利が変わると、
その分適用金利も連動して変わります。
ただし、適用金利が上昇しても、
実際の返済額がすぐに増えるとは限りません。
「5年ルール」が採用されているケースが多いためです。
「5年ルール」とは、
家計負担が急激に増えるのを防ぐため、
途中で金利が変わったとしても、
返済額の見直しを5年ごとにするというものです。
そのため、このルールのもとでは、
5年間は途中で金利が変わっても、毎月の返済額は変わりませんので、
今回の金利上昇の影響を受けるのは、
おおむね5年前に借り始めて、返済額の変更時期にあたる人になります。
また、上記「5年ルール」とともに、
返済額を変更するときの増加額を、
前の5年間の25%までにする「125%ルール」もあります。
例えば、元々の毎月の返済額が10万円であれば、
金利変更時の毎月の返済額は12.5万円が最大金額になる、ということです。
□5年ルールと125%ルールのメリット
住宅ローンには、5年ルールがあるため、
金利が上昇してもすぐには返済額が変わりませんし、
また、6年目以降も返済額が125%までしか上がりません。
そのため、これらのルールがあるので、
変動金利で借り入れ後に金利が上昇しても、
家計の収支が急変しないようになっています。
例えば、養育費などで数年~十数年間、
毎月の住宅ローンの返済額を増やすことが難しい場合でも、
5年間の猶予があるので、収支を改善することもできますし、
6年目以降も元の返済額の125%までしか返済額が増えることがないので、
家計が住宅ローンの返済額増加によって突然厳しくなる事態は避けられます。
住宅ローンの返済期間中に、貯蓄を作っておきたい方や、
車などの大きな買い物をしたい方にとっては大きなメリットとなります。
■5年ルールと125%ルールのデメリット
5年ルールや125%ルールで、
毎月の返済額が変わらなかったとしても、
住宅ローンを返済期間中に完済する義務は免れません。
つまり、上昇した金利のために生じた未返済分は、
住宅ローン契約の終盤に返済を求められます。
これらのルールによってあと倒しした結果、
予想以上の金額の請求があるかもしれないのです。
したがって、5年ルール、125%ルールは、
その時点で一時的に「急激な変化」を抑制するための仕組みであって、
「総返済額を減らす」仕組みではありませんので、
住宅ローン金利の動向は注視しておくことが必要です。
「ミックス型」という選択肢
ミックス型は、全額を変動型または固定型だけで借りるのではなく、
半分を変動型、残り半分を固定型という形で組み合わせて、
2本のローンを借りる方法です。
金利上昇時の返済負担の増え方が
変動型だけで借りている場合に比べて、
抑えられるというメリットがあるとされています。
例えば、4000万円のローンを35年で組むケースについて、
「変動型」を0.65%、「固定型」を1.80%とした場合
金利がこの先も変わらないとした場合と、
金利が段階的に上がった場合を試算すると、
「ミックス型」は、金利が上昇していったとき、
返済総額が「変動型」を下回るほか、毎月の返済額の増え方は、
「変動型」1本だけで借りている場合より緩やかになります。
そのため、ミックス型は返済総額を抑えつつ、
将来の余裕資金を子どもの教育費などの準備にまわす
といった計画がしやすくなる面があるほか、
変動部分だけを繰り上げ返済する選択肢も増えます。
金利上昇局面では選択肢として考慮する価値はあります。
「優遇」競争激化!
「基準金利」の引き上げが相次ぐ一方で、
ネット銀行を中心にシェアを高めようという動きが強まっています。
「適用金利」や「優遇」などをめぐる金融機関の間での顧客獲得競争の激化です。
(2024年10月現在の情報)
・三菱UFJ銀行
→利用者ごとの「優遇幅」を広げることで、最も優遇されるケースでの適用金利を据え置いた。
・SBI新生銀行
→住宅ローン比較サービス「モゲチェック」の診断を受けた利用者に、業界最低水準となる金利を提示。
・auじぶん銀行
→住宅ローン利息の一部をキャッシュバックするキャンペーン開始。
まとめ
日銀の金融政策をめぐり、年内の利上げ観測が後退する動向はあるが、
この先の金利情勢が見えにくくなってきています。
新たに住宅を購入する場合、どのような仕様や性能を選ぶのか、
その資金計画により、借り入れの金利負担が大きく左右されます。
また、既存の住宅ローンの借り換えの場合、
残っている元金が大きいほど、
適用金利が下がることによるメリットは大きくなる一方で、
借り換えに伴う諸費用の負担が発生します。
どの金融機関のどのタイプのローンが最適なのか、
5年ルールおよび125%ルールがあるのかないのか、
将来を見据えたマネープランをよく練ることが重要です。
KR.designでは、最適な住宅ローンのアドバイスが可能です。
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