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一生賃貸暮らしのリスク

2024-05-10

一生賃貸で暮らすにはどのくらい蓄えが必要か

 

昨今の住宅資材や土地の価格高騰などにより、

つねに論争のある「賃貸か戸建てか?」という命題にも、

いくらか変化が出始めています。

 

そこで、今回は改めて賃貸暮らしのリスクについてのトピックスを紹介します。

(以下、ビジネス雑誌プレジデントから抜粋を含みます)

 

 

ポイントは定年後の家賃負担

 

一般的な夫婦の「老後生活費」はいくらになるのか? | ゴールドオンライン

 

損得という観点

 

住宅ローンを組んで家を買うのと、

賃貸物件に住み続けるのとでは、

最終的にどちらが得なのでしょうか?

 

なかなか一概には判定できないテーマですが、

トータルの損得勘定はともかく、

賃貸暮らしの場合は定年を迎えて収入が大幅にダウンしてからも、

家賃を負担し続けなければならないことが最も気掛かりなポイントになります。

 

そこで、住宅を購入しなかった場合、

60~90 歳までの間に賃貸物件で、

どの程度のお金がかかってくるのかをシュミュレーションしてみます。

 

まず、月々10 万円の物件に住むと仮定したら、

単純計算で家賃負担の総額は3600 万円。

そして、2年に1度更新料がかかるのが一般的なので、

合計15 回で150 万円がプラスされます。

 

しかも、同じ物件に30年間も住み続けるのは非現実的ですから、

10年に1 度の頻度で引っ越しをしたと仮定しましょう。

3 回の引っ越しで敷金・礼金が合計で3 カ月分、

仲介手数料が1 カ月分ずつかかるとすれば、

総額で約3870 万円の負担となりま。

 

なお、このシミュレーションは、

以前の住まいを引き払った際に戻ってきた敷金の残り(部屋のクリーニング代などを差引後)を引っ越し代に充てたと仮定して計算しています。

 

もちろん、最近は敷金・礼金ともにゼロの物件も出回っています。

しかしながら、それでもシニアの場合は、

収入が限られている点などを踏まえて支払いを要求されるケースが多いのが実情です。

それに、入居条件が緩い物件は部屋のクオリティにも難がありがちです。

 

年金収入だけ耐えることができるか

 

老後のライフスタイルを考える高齢者の夫婦:イラスト無料

家を買ってローンを組んだ場合なら、

ローンの組み方を工夫することにより、

子どもの教育費負担がピークに達する頃に返済額を抑えたり、

年金生活になる前に返済を終える、といった工夫をすることが可能です。

 

ところが、賃貸物件の場合は家賃が老後までコンスタントにかかってくるので、

そういったコントロールが難しいです。

もしここまでの負担は厳しいということなら、

入居する物件のクオリティを下げるしかありません。

 

ただ、子どもが成人して巣立った後は、

部屋数が少なくて済むようになるという側面もあるので、

夫婦2 人だけで住むのに十分なコンパクトな間取りの物件を選び、

今までよりも家賃を安く抑えることは可能でしょう。

とことんまで負担を軽くしたいなら、

公団のような公営住宅に注目する手もありますが、

所得水準などに関する要件が定められていて、

かなり福祉的な位置づけの住まいですから、

誰でも入居できるというものではありません。

 

 一方で、UR 賃貸とかをイメージしている人も多いようですが、

こちらはそれなりに収入のある人を前提とした物件で、

年金生活者の場合は家賃の100 倍以上に相当する貯蓄があるかどうかを毎年調べられたりします。

 

いずれにせよ、維持費しかかからなくなった持ち家派と比べれば、

賃貸派の月々の出費はどうしても多くなってしまいます。

もちろん、ニーズに応じて自由に引っ越せるというメリットもありますが、

現実は難しいです。

 

加えて、お金以外の問題としては、

保証人を確保できるかどうかという問題が大きなネックになります。

親族や友人など、身近な誰かに引き受けてもらえるかどうか。

 

物件の供給自体は豊富であっても、

どうしても大家さんは孤独死のリスクなどを意識し、

あまりシニアには貸したがらないものです。

シニアでもOK な物件を見つけて保証人も確保することは、

非常に切実な問題なので、あまり軽く考えておかないほうがいいでしょう。

 

まとめ

 

『一生賃貸』の最も大きなリスクは、

高齢になって自分が弱ったときです。

 

現在、サービス付き高齢者向け住宅が充実してきたり、

空き家利用の促進などから、一昔前に比べて借りやすい環境は整いつつあります。

しかし、今でもなお大家さんは支払い遅延リスクや、

何かあった際のことを考えて高齢者は敬遠しがちです。

 

また、認知、判断機能が衰えると、契約行為そのものができなくなることもあります。

 

そして、いざ施設への入居が必要となった場合、

持ち家は売却して入居資金をねん出することができますが、

賃貸では貯蓄を切り崩さなければなりません。

 

気軽に引越しやすく、住みたいところにも住みやすい、

住居費だって抑えようと思えば抑えられるという賃貸のメリットも、

『一生賃貸』となるとリスクが出てきます。

 

持ち家にするか、賃貸にするかは、

特に高齢になった際のことを考えた、

長い人生設計をすることが大切のようです。

 

少しでも家づくりの参考になれば幸いです。